エンビィ 【完】
「俺の“妹”を、目の敵にするのはやめてほしい」
「目の敵って…まだ会って2回目ですよ?」
「回数は関係ない」
「……あたしが…ユキノさんに何したって言うの?」
「君の行動は、悪意があるように思える」
「たとえばどんな?」
「たとえば、先日のピアノの件だ」
指先から硬直していく。
なんで…伊織が知っているわけ?
また裏切ったのね…百瀬っ。
「勘違いはしないでくれるか」
「なにをです?」
「君は、あらかた百瀬くんを疑っているんだろう?」
「………」
「俺は、君のクラスメイトがピアノに細工するのを見ていたんだよ」
「………」
「その後にきたのが彼―――百瀬くん。彼はそれを目にして、血相を変えて俺に謝ってきたよ」
百瀬のやつ。
なんで謝るのよ……。