エンビィ 【完】
「最初は俺に謝罪してくる意図が組めなかったが、話を聞いているうちにわかった。彼は優秀だ、先手を打ったのだから」
先手ですって…?
あたしにとっては、余計なこと極まりない。
「俺が…のちに気づいていたら、どうなっていたと思う?」
「………さあ?」
「君が、豪遊な生活を送れないようにしていたかもしれない」
「……っ…伊織様ッ」
言葉に詰まった。
伊織が、あたしを排除者の対象としてみているのを、痛いほど感じた。
「…あたしは別に…あなたの妹にケガをさせようと、そんな意図で…仕組んだんじゃないわ……ただのお遊びじゃない、の………それを…あたしの生活を脅すようなお言葉…気が触れてますわ…」
だってそうでしょう?
ちょっと恥をかかせてやろうって、そう思っただけ。
命に関わるような危険に晒したわけでもないのに…。