エンビィ 【完】
「俺がどう思われようが関係ない。二度と“妹”に関わるな」
「……そこまでお怒りになる理由が、わかりません…わ…」
氷よりも冷たい双眼が突き刺さっているのに……あたしの口は、伊織の要求を頑として受け入れない。
そんなあたしの投げつけられたのは、
「“妹”は君に構っていられるほど暇じゃない。そんなくだらない遊びは、他所でやってくれ。“アレ”を巻き込むな」
あたしという人間を、価値もないとする言葉だった。
伊織はユキノの人生に、
一秒でもあたしという存在を刻みたくないらしい。
まるで無価値とでも言いたげな、
「頼むから―――“アレ”から時間を奪ってくれるな」
棘をもつ花を、伊織は差し出してくる。