エンビィ 【完】
「呼び捨てにしないで」
「今日、化粧のノリ悪くねえ?」
「は?」
「くすんでるよ?」
「うるさい、どっかいって」
ブルーに色づけられた小華をじっくりと観察しながら、
小声で男を追っ払う。
「つーかさ、なんだかさ、最近さ、」
「なに?」
「人形ぽっくなったね?」
小華から視線を上げる。
そこには、あたしを見下ろしてくる男。
言いにくそうにそういったくせに、
答えを待っているところが、この男の貪欲さを表しているようだった。
ユキノという存在を知ってから、満足感を味わえなくなっていた。
パーティに行けば、その姿を探すように目が動く。
学校に行っても、
食事をしていても、
誰かと会話をしていても――――