エンビィ 【完】
秋風が紅葉をなびかせる。
なんて―――、
なんて、
相応しくないほど、綺麗な夕焼け空。
胸元で一連のパールが不気味に揺れる。
より一層夕焼け空に近づく。
震える低いヒールが石段を登りきれたあと、黒一色に染まった世界にたどり着いた。
「彼女が――…―ことは、会社の全てを―…―――…――ことだわ」
「花婿候補―――…―気の毒ね」
会話は下品極まりない。
口許が弧に歪んだ。
「―――はさぞかし―――のことでしょう」
「―――を溺愛なさっていたのは―――せいもあったのね」
「ああ、なんて嘆かわしいのかしら」
「――はっ、」
許せない。
許せない。
「玲奈様?」
「……ざまーないわね」
「玲奈様!」
そんなの――――許せるわけない。