漫画みたいな恋がしたい
立ったまま特に何かするわけもなく
しばらくの間沈黙が続いた

友喜の背は3年になってからかなり伸びている

小さい頃は私と同じぐらいだったのが
今じゃ見上げてしまった

「俺も理科にしようかなぁ」

「えっ…」

学校では関わりたくないと思う気持が顔に出てのか友喜は察した。

「あっ…ゴメン冗談だから」

友喜の顔はけして冗談ではなかった

「…………」

「俺…そろそろ帰るわ」

「そう…だね」

部屋のドアを開き友喜が出ようとする

「友喜…下まで送る…」

「うん」

二人で階段を降りたらすぐ玄関
結局何も会話する事なく

「じゃまた明日」

「おやすみ」

「おばさーん俺帰ります。ごちそうさまでした」

お母さんがエプロンで手を拭きながら
やって来た

「もう帰っちゃうの?今お茶持って行こうとしてたのに…」

「受験生ですら、早く帰って勉強しないと」

友喜の笑顔だ

「そうよねまたいつでもいらっしゃい」

「はい」

お母さんと私は玄関でドアが閉まるまで見ていた
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