もう一度その名を呼んで
◇序章◇
黄鳥歌
「その詩は誰もが知っている高句麗第二代国王・瑠璃明王が詠んだ”黄鳥歌”ではないか。」
『作用でございます、王様。』
王宮殿には相変わらず元気な王様と、それを微笑ましそうに見つめる内官や女官達。
私と同い年の王様は、五年前の十五歳の時、若くして王位に就いた。
たまに突拍子もない事を思い付く王様だけど、常に心配りを忘れず、多くの民から慕われている。
巷では今上(現王の事)は稀に見る君主の才能の持ち主だと、王様に関する噂は常に絶えない。
確かにこうやって見てみると王としての貫録は十分にあるし、もう直ぐ二十歳になる御方とは思えない。
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