もう一度その名を呼んで

李商隠は早くに父を亡くし、官職に就いても免職される事が多くて、良い人生だったかと言われれば不遇な事ばっかりだと思う。

けれど妖艶で美しい詩は多くの人を虜にしていて、今でも人気のある詩人の一人だ。


「チョ武官様もこの詩が好きだと仰っていました。」


この詩は恋愛詩として名高いけれど・・・。

最後の”蓬山(ホウザン)此より去ること多路無し、青鳥殷勤探り看ることう為さん”って、別れる辛さを知っているから。会えば更に別れが辛くなるから、自分の代わりに恋人の様子を見てきて欲しいと言っているのだと、私はそう解釈している。

自分の代わりに見守って欲しいとのソウンの意思表示のような気がしてならない。

『このままでいいの? チャンリョン様もソウンを捜しているのに…。』

「いいんです。」




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