もう一度その名を呼んで
私はこうしてたまに王宮殿に呼ばれては王様と詩について話す事が多く、比較的穏やかな生活をしている。


今日お話しする詩は、私が最も大好きな瑠璃王(※こうして呼ばれる事もある)が詠んだ黄鳥歌だ。


「瑠璃王は即位した年に隣国の娘と婚礼を挙げたが、翌年に亡くなってしまう。妃を愛していた瑠璃王は悲しみに暮れるが、悲しむ姿を見た臣下が新しい妃を迎える事を勧めた。そして禾姬を迎え入れた。しかし瑠璃王は前の妃を忘れられずにいた。

ある時、狩りに出掛けた瑠璃王は雉姬という娘に出逢った。亡くなった妃に似ていたのでとても驚いたが、側室として迎え入れた。」


『雉姬は瑠璃王の寵愛を一身に受け、瑠璃王もまた元気を取り戻しました。この事をよく思わない禾姬は事あるごとに雉姬をいじめました。

瑠璃王が遠方へ狩りに出掛けた時、禾姬は雉姬を今までにない位に苛め抜き、耐えきれなくなった雉姬は母国へ帰ってしまいます。

そして狩りから戻った瑠璃王は雉姬が宮殿から去ったと聞き、急ぎ彼女の元を訪ね戻ってくるよう説得しましたが、雉姬が戻る事は二度とありませんでした。』
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