もう一度その名を呼んで
この屋敷は何れ、チャンリョン様とソウンの物として明け渡される事となる。
そしたら二人は・・・。
「何をそんなに悩んでいる?」
『・・・い、いいえ!何でもありません。』
び、びっくりした・・・!
チャンリョン様は、今日は非番だったらしく普通の両班の格好をしている。
もう亥の刻(午後9時~午後11時の間)過ぎているし、明日は早いと聞いていたのでもう寝ていると思ってたから、私室から近い東屋への訪問は予想外だった。
武官らしく気配なく現れる事もあるから、時々びっくりしてしまう。
「私も此処に座ってもよいか?」
『どうぞ・・・。』
いつもは挨拶程度しかしないから、二人だけで話す事なんて今までほとんど無かった。
取りあえず乱雑に置かれた書物を整え、清国から来た手紙と権利書を急いで隠した。
今のチャンリョン様に見られてはまずい物だ。