もう一度その名を呼んで

「一人だけいる。どんな人だと聞かれれば、常に明るく周りの事を考え自分を犠牲にする・・・そういう人だ。

会いたくても会えないというより、近くにいるからこそ別れるのが辛いと、会えば会う程別れが辛くなってしまうという想いに近いだろうな。」


詩のあの部分・・・。


”蓬山(ホウザン)此より去ること多路無し、青鳥殷勤探り看ることう為さん”


別れる辛さは恋人同士の事だけじゃ無いのかもしれない。

家族との事、友人との事、上官や部下の事。

チャンリョン様に此処まで言わせてしまうんだもの、きっと素敵な人に違いない。


「ユリにはいるのか?そのように思える人が。」

『私ですか?私は・・・。』


いつになく真剣な眼差しに緊張しながらも、とてもあの事は口に出せないから心の中で呟いた。


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