もう一度その名を呼んで
瑠璃王は王位に就いたものの、華やかな人生ばかりでは無かったみたいで、
父を探してようやく出逢えたものの程なくして亡くなってしまい、王位に就いたものの翌年に愛していた妃をも亡くしてしまう。
愛していた人が次々と失っていき、政治的な事も上手くいってなかったとすれば、心が寂しくなっても不思議ではないかもしれないと、母上がよく言っていた。
この詩を好きになったのも、母上が瑠璃王の話をよく聞かせてくれたからだ。
「そういえば、そなたの名も瑠璃(ユリ)だったな。」
『はい。瑠璃色の石には、誤った考えを直し邪気を払いのけるという意味があります。恐らく両親はそこから名付けのだと。』
この名は今も地方で暮らしている両親が付けてくれた、大切な名。
王様は少し寂しそうに笑いながら「いつ聞いても良い名だ。」と言った。