もう一度その名を呼んで

数日前王宮殿に訪れた時も、王様が”あの者には叶わなぬ”と笑って仰っていたっけ。

王様も認める程の才能を持っているのに、ソウンには出世欲が無い。


「それは・・・。」

『うん、チョ武官様の着る新しい武官の服よ。』

「姉様は何でも作れるのですね。」


月明かりに照らされた、手元にある服。

来月、主役として任命式に出席するチョ・チャンリョン様の内禁衛将(ネグミジャン:内禁衛の長官職)としての服だ。

護衛官としての威厳が出るようとの王様の御命令に従い、全体的に赤、首の所は瑠璃色に近い素材の物で作った。

本当は私ではなく専門職人の方が作るはずだったんだけど・・・王命が下された以上私に拒否権は無い。

こうして既に出来上がったのだし、気に病む必要も無いんだけどね。


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