とある悪魔の独白
だが彼女は弱る気配も無く、私の力が無くなったのだと痛感してしまった。
そんなある日、私は彼女に呼ばれ庭園で月を見ていた…。
「きれいな月ですね…。」
「そうですか?
赤い月は人の魂を迎えに現れると言いますからね…、
良いものでは無いと思いますが?」
それでも彼女は月を見上げている。
「ところで、何のご用ですか?」
居心地が悪くなって話題をそらすと彼女が私の目をまっすぐ見つめてきた。
「ベルゼブブ…。
もう魔界に戻ってください。」
彼女の口から紡がれた言葉に頭が真っ白になるが理解した瞬間怒りがこみ上げてきた…。
「それはつまり契約を解消すると?」
彼女ははっきりと「はい。」と答えた。
「私はもうあなたとは一緒に居られないのです。」
「それはどういう「トール…。」
彼女がベルゼブブではなく私の名前を呼んだ…。
「あなたが私の命を蝕んでいたことは知っています、
でも…、それでも私は。
ずっとあなたのことが好きでした。
さよならベルゼブブ・ドレス・トール。」
それを言うと、彼女は私にキスをして去ってしまった…。