【短編】さよなら、愛しいひと


そう思ってるのは私だけで、早くから全て終わっていたのかもしれない。

だって、横でどう言葉を紡ごうかと思案している彼の心に私への恋心はとうに消えてしまっている。

それは緩やかに蝋燭が短くなり炎が消えるように、彼の恋という名の炎が消えて次に炎を灯した相手が違っただけのこと。

彼は付き合ってから一度だって浮気したことなんてないし、そんなことをするような人ではないことは私が一番よく知っている。

ただ、私も知っているあの女の子といる時、愛おしそうな目で見つめるのだ。

確かに恋に落ち愛し合っていたはずなのに、何時の間にか私の一方通行に変わってしまった。

両想いという形が壊れてしまった。

私だけが今も確かに彼を想い続けていて、彼の想いはもう他の女の子へと向けられている。




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