あじさい~揺れる想い~


 テストが終わり、浩平と久し振りに一緒に帰ることができるので、急いで帰る準備をしていると、教室のドアの方から声が聞こえた。



「手塚さん、彼氏が待ってるよ」




またその視線・・・。




私を困らせようとしてるの?




声は笑っているのに・・・目が笑ってないよ・・・渡辺くん・・・。





私は渡辺くんを見ないように、浩平に「今、行くね」と返事をし席を立ち、浩平の元へ向かった。




浩平の顔を見上げると、その奥に見える瞳から目を逸らし、改めて目の前の浩平を見つめた。



「行こうか」


そう言って、手を差し出してくれ、私の居場所を用意してくれる。



「うん」




繋がれた手・・・これはずっと離れたりしないよね・・・。



私は、何かを掻き消すように、浩平の手を握り返した。





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