あじさい~揺れる想い~
「昨日はごめんね・・・急に体調が悪くなって・・・」
俯きながら謝る私の姿を見て、浩平は優しく声を掛けてくれる。
「いいよ。それより、もう大丈夫?」
浩平の気遣いに、後ろめたさは避けることはできなく、俯いて「うん」としか言うことが出来なかった。
そんな私の様子を見て、心配そうに覗き込む浩平に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
「ほんまに、浩平は優しいし、私のちょっとした変化も気付いてくれるし・・・私、そんな浩平が大好きやで・・・」
突然こんなことをいい始めた私に浩平は顔を真っ赤にして照れているようで、彼は困った顔をしながら私を見つめていた。
ごめんね・・・。
「だから・・・もうこれ以上・・・浩平を騙し続けることなんてできへんよ・・・」
体の震えが止まらない・・・そして、我慢していた涙が零れ落ち、濡れてはすぐに乾いていくアスファルトを見つめることしかできなかった。
そんな私を見つめる視線が優しいものであったことは、俯いていてもわかった。
「ゆかり・・・」
消えてしまいそうな声で私の名前を呼ばれると、私を引き寄せ抱きしめられた。
急に抱きしめられているのに私は抵抗などせずに、浩平の胸に顔を埋めて泣いていた。