あじさい~揺れる想い~
「そんな甘えた声を出す女の子が好きなん?」
渡辺くんの顔を覗き込むと、私はわざと寂しそうな顔をしてみた。
「いや・・・・・・その・・・・・・俺は、手塚さんが困る顔が見たくて・・・・・・ほんまに・・・・・そんな甘えた声を出す子は逆に嫌いで・・・・・・。
手塚さんみたいに、何でも一生懸命する子が好きなんや・・・・・・」
うわぁ、顔、真っ赤やん!
おもしろい!
隣で笑いを堪えていることも知らずに、渡辺くんは、私に返事を求めてきた。
「なぁ・・・・・・手塚さんは?」
そう聞いてくる彼の顔があまりにも真っ赤で、つい吹き出してしまった。
「ぷっ!あはは・・・・・・」
私の笑い声で、自分がからかわれていることに気付いたのか、彼は膨れていた。
「人が真面目に話してるのに笑うな!」
必死に怒ってるけど、それもまた私のツボに入り、笑いが止まらなかった。
「・・・・・・ははは、私もね・・・・・・渡辺くんの困った顔が好きやで」
なんてふざけた告白なんだろうと思いながらも、とりあえず想いを伝えてみたが、隣の彼が茹でダコ以上に真っ赤な顔をしていたので、やはり笑いを堪えることが出来なかった。
「ありがとう」
私の顔を見つめて言う渡辺くんの顔があまりにも真剣で、私も笑いが消えて行き、見つめ合うと、どちらともなく近づき、唇を重ねた。