あじさい~揺れる想い~
触れるだけのキスが終わると、私達は見つめ合っていた。
「・・・・・・浮気によって出来た子供が浮気するなんて、シャレにもならないね・・・・・・」
私の胸の中でずっと感じていたものを声に出すと、渡辺くんは優しく私の頭を撫でて聞いて来た。
「俺への気持ちは、本気じゃないの?」
『答えはわかってるよ』とでも言いたげな表情の彼に、一言で答えた。
「本気」
私の気持ちを汲み取ってくれたのか、彼は「じゃ、浮気にならないね」と目を細めて言ってくれた。
その優しい言葉と声に顔を見れなくなってしまった私は、俯いて自分の掌を見つめた。
そして、彼の手が私の手に重なり、彼はゆっくりと話し始めた。
「俺は、ゆかりに一目惚れしたんやで・・・・・・」
えっ?
一目惚れ?
突然の話題に私の頭は着いていくことがやっとだった。