ガラスの靴じゃないけれど


その眼鏡をヘッドボードの上に置いた望月さんは、強い力で私の両肩を掴んだ。

「途中で終われるほど、男は我慢強くないんだよ」

ベッドに押し倒された私は、強引に唇を塞がれた。

それはこの前交わしたディープキスよりも、さらに深くて濃い。

不慣れな私のことなどお構いなしに、望月さんは舌を絡めてきた。

抵抗することも、受け入れることもできない私は、望月さんの行為に流されるまま。

シーツを剥がされて胸に触れられても、先端を舌先で転がされても。

そしてカエルのように、無様な格好をさせられても......。

悦びを感じるどころか、頭の中は羞恥と恐怖で埋め尽くされるばかりだった。

「若葉?気持ち良くない?」

「...わかんない」

望月さんのことは好き。

でも、本当にこのまま流されてしまっていいのかと、不安を感じている冷静な自分がいる。

「そろそろいいかな?」

何がそろそろなのか、何がいいのか、私にはさっぱりわからない。


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