ガラスの靴じゃないけれど
「まあ、確かに初めては痛いけれど、望月さんは優しくしてくれたんでしょ?」
韓流イケメンの店員さんのことなど全く気にしていない佐和子先輩は、早速マッコリに口を付ける。
渋い灰色の陶器のグラスに注がれた白いマッコリを見つめながら、私は首を横に振った。
「飲み会の後だったせいもあるかもしれないけれど、望月さんはすぐ眠っちゃって...。次の日の朝、目が覚めたら、望月さんは休日出勤に行ってしまった後でした」
私の話を聞いた佐和子先輩はマッコリのグラスをテーブルに置くと、頬杖をついて首を傾げた。
「ふーん。望月さんが優しくしてくれなかったことが不満なの?」
「そうじゃなくて...」
「じゃあ、何を悩んでいるのよ?」
ピリ辛なトッポギを食べながら少しだけ声を荒げた佐和子先輩に向かって、私は恥ずかしさを堪えながら、初体験の話を赤裸々に語った。
「私、痛くて怖くて...途中でヤメテって言っちゃったんです。でも望月さんは我慢してって...」
「つまり若葉ちゃんの気持ちを無視して、強引にヤッた望月さんが許せないってこと?」