ガラスの靴じゃないけれど
飾り気のないストレートな望月さんの告白は、まるで弓矢のように私の胸を力強く貫いた。
もちろん答えは決まっている。
だって私は真摯に仕事に打ち込む望月さんに、恋焦がれていたのだから......。
「はい。お願いします」
開放感のある透明なパーテーションで区切られたミーティングルームは、開発事業部のフロアから丸見えだ。
でも今は、昼休み。
私と望月さんの邪魔をする人は誰もいない。
細くて長い望月さんの指が、私の頬にかかる毛先を優しく掬い上げる。
髪の毛に触れられただけなのに、頬が熱く火照るのを自覚した。
望月さんの指先が、私の毛先から頬に優雅に流れていく。
縁なし眼鏡のブリッジを上げる望月さんの、細く長い指の動きを見るのも好きだけれど。
頬に感じる望月さんの指先の温もりは、もっと好き。
「触れただけでこんなに真っ赤になるなんて...キスしたらどうなるんだろうね?」
私の反応を楽しんでいる、余裕があり過ぎな望月さんが少しだけ憎たらしい。