ガラスの靴じゃないけれど
望月さんの温もりを感じた途端。強がることも見栄を張ることも無意味に思えた私は、ありのままの自分をさらけ出す。
「望月さん。笑わないでくださいね。実は私...初めてなんです」
「うん。そうじゃないかと思った」
「え?どうして?」
望月さんは思い出したようにクスクスと笑い出す。
「だって一条さんったら...目を閉じながらタコみたいに顔を真っ赤にして唇を尖らせているから」
穴があったら入りたい...。
ううん。穴がなくても入らなくちゃ恥ずかしすぎる!
間抜けなキス顔をさらけ出してしまったことを俯きながら後悔していると、望月さんの腕に力がこもった。
望月さんに抱きしめられたことは死ぬほど嬉しいけれど、どうしても恥ずかしさを拭い去ることができない。
でも甘く囁くように、こんなことを言われたら......望月さんの言葉に従うしかなかった。
「ごめん。もう笑わないから...一条さん。顔を上げてくれないかな?」