ガラスの靴じゃないけれど
私と望月さんのこんな経緯を知らない佐和子先輩と有紀ちゃんは、数メートル離れた席でB定食の中華丼を食べている望月さんを見つめながら、私に話を振ってきた。
「ねえ、若葉先輩?望月さんって彼女いるんですか?」
「え?さ、さあ?どうなんだろうねぇ」
「もう!若葉ちゃんったら、そこのところをきちんと調べてくれないと困るじゃないの!なんのために開発事業部にお手伝いに行っているのよ」
有紀ちゃんの質問をはぐらかすのは、それほど難しくない。
でも彼氏がいるくせに、必要以上に望月さんのことを知りたがる佐和子先輩の話には、もはや何と答えていいのかわからなかった。
「あぁ...メガネ男子。萌えるよねぇ」
「確かに。でもアタシは望月さんの眼鏡を外した素顔が見てみたいなぁ」
望月さんの素顔?!