ガラスの靴じゃないけれど
そうか......。
まだ私は望月さんとキスしかしていないけれど、いずれは眼鏡を外した望月さんと......。
いやん!
佐和子先輩と有紀ちゃんの会話を聞きながら、ベッドの上で繰り広げられる未知なる世界を妄想してみる。
望月さんだったらきっと、初めての私を男らしくリードしてくれるはず。と.......。
「あら?若葉ちゃん?顔赤いわよ。もしかして熱でもあるんじゃないの?」
「本当だ!食事も進んでないし。医務室に行きますか?」
ランチタイムに変な妄想をしていましたなんて、ふたりに白状できるはずがない。
「だ、大丈夫です!食欲だってモリモリありますから。ほら。ね?」
スプーンですくったふわふわオムライスを慌てて口に入れてみせれば、ふたりはキョトンとしながら顔を見合わせる。
私は視界の端にチラチラと映る望月さんを意識しながら、口の中で卵がとろけるオムライスを味わった。