ガラスの靴じゃないけれど
土日に用事がない私でも、やはり休みの日は待ち遠しい。
今日は金曜日。
いつものように雑務をこなしていると、あっという間に午前の業務時間の終了を知らせるチャイムが鳴り響いた。
プロジェクトに追われていても、腹が減っては戦ができぬ。とばかりに、開発事業部はもぬけの殻になる。
私もお財布を手にすると、開発事業部を後にしてエレベーターフロアに向かった。
10階のフロアでエレベーターが到着するのを待つ人々の中に、望月さんの姿を発見する。
松本チーフと会話をしながら、少しだけ笑みを浮かべている望月さんはやはり素敵。
いったい、何の話をしているの?
オフィスで望月さんを独占している松本チーフが、とても羨ましかった。
出来ることなら私もその会話に加わって、望月さんの笑顔を独占したい。
そんなことを考えていると、ポンという軽快な音と共にエレベーターが10階に到着した。