ガラスの靴じゃないけれど
普段は動きやすいように、カットソーの上にスーツを着て出社することが多い私。
でも今日は、きっちりと落ち着いた印象を出すために、白いブラウスの上にスーツを着ることにした。
何故、面接を受ける時のように外見に気を付けたのかというと、今日が光が丘駅北口商店街再開発プロジェクトの住民説明会の日だから。
スーツを着て、ベーシックな黒のパンプスにA4サイズのファイルが入る黒のバッグを肩から掛けた私は、どこから見ても就活中の学生。
先週、光が丘駅北口商店街に行った際。
『メイド・イン・イタリーか。学生にしては贅沢だな』という彼の言葉が、ふと頭に蘇った。
今日の説明会に、彼は来るのだろうか。
私が光が丘駅北口商店街再開発プロジェクトを進める野口不動産株式会社の社員だと知ったら、どんな反応を示すのだろうか。
たった一度しか会ったことない彼の姿を思い出しながら、私は電車に揺られた。