ガラスの靴じゃないけれど


もしかして、これが独占欲?

悔しがってくれている望月さんを前にして、こんなことを思ったら怒られるかもしれない。

でも、望月さんのヤキモチのような言葉は、正直、嬉しかった。

昨日の出来事を話していると、やはり気になるのは住民説明会。

----当日。18時30分まで受付をした私は、望月さんに心配掛けないように、本当ならばこれで町内会館を後にしなければならなかった。

でも、説明会が無事に終わるのかどうなのか、どうしても気になる。

少しでも帰る時間を引き延ばそうと考えた私は、ゆっくりと受付の後片付けに取り掛かった。

それでも片付けなど、あっという間に終わってしまう。

次に私が起こした行動は、住民説明会の参加者の方々の靴を整えることだった。

もちろん、その間はずっと説明会の内容に耳を傾けたまま。

でも聞こえてきたのは、淡々と資料を読み上げる部長の声だけだった。----

名残惜しく町内会館を後にした私が知りたかったのは、その後のこと。

「あの...望月さん。住民説明会ですけど...無事に終わったんですか?」

「ああ。予想よりもスムーズに終わった。だから今日、休日出勤する必要が無くなってさ。こうして若葉をデートに誘ったってわけ」


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