ガラスの靴じゃないけれど


「望月さんってカレーが好きなんですか?」

「うん。大好き」

望月さんは、さび抜きを注文する私のことを小学生みたいだと言った。

けれど、カレーを大好きだと即答した望月さんの方が、小学生みたいだと密かに思う。

「他に望月さんの好きなものは?」

「そうだな...焼肉とか寿司とか。あ。寿司はさび入りだけどね」

ついさっきは黙り込んでいたくせに、あっという間に意地悪な望月さんの復活だ。

「若葉の好きな食べ物は何?」

「私はいちごとプリンと、あとアイスも好きです」

「デザートばかりだね」

「はい!食後のデザートが一番好きです」

私の答えを聞いた望月さんは、また大きな声を上げて笑い出す。

「この店にもデザートがあるから頼むといいよ」

「本当ですか!楽しみ!」

望月さんの笑顔は、青空から降り注ぐ太陽の日差しにも負けないほど眩しい。

その光り輝く笑顔を今日はひとり占めできると思うと、自然と笑みが零れてしまうのだった。


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