ガラスの靴じゃないけれど
週明けの月曜日。開発事業部のミーティングルームで行われているのは、先週の土曜日に開催された第一回住民説明会の報告会。
松本チーフは『再開発プロジェクトの仲間だ』と言って、私のことを認めてくれた。
けれど現実には、ヘルプの私がミーティングルームに入るのは後片付けの時だけだ。
私が気になってしまうのは、やはり五十嵐響が営んでいる靴工房・シエナの行く末。
いったい、どこまで再開発プロジェクトは進んでいるのだろうか。
頼まれた入力作業をこなしながら、透明なパーテーションで区切られたミーティングルームをチラチラと覗いてみても、その答えを知ることはできなかった。