ヴァイオリンとフルート
　すると、クラスの女子と何時の間に集まってきたのか他のクラスの女子いて一斉に叫ぶように言った。

「「「ちょっと待ってよ！！私達のこと忘れてない！！？」」」

　その声は学校の外にまで聞こえていることだろう。
　優奈、田仲、梨恵の四人はその声に仕方なく振り向いた。
　涙菜は怖くて優奈達の後ろに黙って隠れていた。
　そして、女子のうちの一人が発言した。

「優奈君？どうして私達の時は悩んでたのに夕闇さんと天本さんはあっさり一緒に帰るの？」

　優奈は全然言い返さない。
　優奈の代わりに田仲が発言した。

「・・・お前らなぁ・・・優奈はお前らを傷つけたくないだけだ。だから優奈は何も言えないんだ。」

　さっきの女子とは違う女子が発言した。

「傷つけたくないならいいけど、でもどうして夕闇さんと天本さんは一緒に帰るのよ？」

　涙菜は、「私の所為なんだ・・・」と思って梨恵の制服を掴み震えていた。
　梨恵は心配して涙菜に話しかけた。

「夕闇さん、どうしたの？」

「・・・なんでもない・・・よ・・・」

　優奈は涙菜に話した。

「涙菜、大丈夫だよ・・・涙菜の所為じゃないよ。」

「・・・うん。」

　優奈の言葉で震えが収まってきた。
　そして、優奈は女子を無視して涙菜達に言った。

「帰ろうか？涙菜、天本さん、田仲。」

　それにのったように梨恵と田仲が言葉を返した。

「そうね、帰りましょう。夕闇さん、田中君。」

「そうだな、帰るぞ、優奈、夕闇、天本。」

　と、涙菜は優奈達に連れられて、教室を出て行った。
　教室には静かになった女子とまだ帰っていない生徒がいるだけだった。
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表紙・目次

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