ヴァイオリンとフルート
 と思ったら、今度は違う音が流れてきた。

「♪~~~♪♪♪~♪」

 フルートとは、また違うとても高い音・・・ヴァイオリンだった。

「フルートにヴァイオリン?それにしても上手だなぁ・・・誰が弾いてるんだろう?」

 涙菜は美しい音色がする方へ駆け出した。

「あっ、此処から聞こえる。って、凄く豪邸ー!」

 涙菜が着いた所は涙菜の家から少し離れた所にある豪邸だった。
 その豪邸からその美しい音色が大きく響き渡っている。

「あの窓から、聞こえてくる。」

 豪邸の一階の窓が開いている。涙菜はその窓の方へ行って見た。
 庭が広いから遠くて見えにくいが、確かにヴァイオリンを弾いている人物か見えた。
 涙菜程ではないが白い肌で、少し華奢な体つきと顔が整っていて少し長めの髪をしている。

「女の子かな?でも、何か違う気がする。」

 涙菜は一瞬そんなことを考えた。

「でも、男の子にしたら少し細いきもするし・・・それに私と同じ歳っぽいし・・・やっぱり女の子かな?」

 涙菜が言ったことは最もで、ヴァイオリンを支えている腕は涙菜より細い。ヴァイオリンの弦を押さえている指もヴァイオリンの弓を持っている手も細い。

「でも、男の子だったら失礼だし・・・」

「!?」

 
 ヴァイオリンを弾いている人物は涙菜に気付いたらしく、美しい音色を出すのを止めて、話しかけてきた。
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