ヴァイオリンとフルート
 あの日と同じ感覚、同じ時間、同じ2人が歩いていた。

「あの日みたいだね。」

「えっ、もしかして初めて会った日の?」

「うん。」

「そうだね。何もかも同じだ。」

「2つだけ違うよ。」

「?」

「僕が涙菜と友達って事、僕が荷物持ってること。」

「そうだね。もう私達友達なんだ。」

「・・・ねぇ、涙菜。」

「何?」

「涙菜って好きな人いる?」

 優奈は顔を真っ赤にして言った。

「えっ・・・それは・・・」
 
 涙菜は顔を真っ赤にした。涙菜の好きな人・・・それは、好きになっても、なれない人、なってはいけない人、だって彼を好きな人は沢山いるのだから。
 涙菜が考えていると、優奈が発言した。

「僕は・・・いるよ。」

「・・・そうなんだ。訊いてもいいかな。誰?」

「・・・ぼ、僕の一番近くにいる女の子。」

「・・・?・・・もしかして、梨恵?」

「ううん、違うよ。」

「そうだよね。梨恵は八重斗君と・・・」

「付き合ってるもんね。」

「うん、」
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