ヴァイオリンとフルート
 数時間探したが桜は、見つからなかった。

「無いね。桜・・・」

「うん。もう終っちゃったのかな?」

「そうかもね。涙菜は何の花が好き?」

「えっ、月下美人・・・知ってる?」

「あの夜に咲くって言う白くて大きな花?」

「うん、6月~10月が開花期なんだって。」

「よく知ってるね。」

「家の庭に咲いてたから、もう無いけど。」

「此処にも咲くかもしれないね。」

「うん。」

「涙菜!!」

「何?!!如何したの?」

「桜が、あった!!」

「えっ!?」

 涙菜は優奈が指差す方を見た。そこには見事に満開している桜の木があった。
< 58 / 79 >

この作品をシェア

pagetop