ヴァイオリンとフルート
午後9時・・・
「午後・・・9時?」
――・・・・
「「午後9時ぃぃぃぃぃぃ!!!??」
近所に聞こえそうな程大きな声で叫んだ。近所から苦情が来なかったのが奇跡だった。
午後9時、中学1年生がうろついている時間ではない時間だ。しかも、明日は学校だった。涙菜は兎も角、優奈が親に何か言われるに違いない。
「優奈、帰った方がいいよ!!」
「う、うん!!!」
優奈は急いで帰る用意をしていたがまだ驚きが消えないのか手元が狂っていた。
「ゆ、優奈大丈夫?手伝おっか?」
「だ、大丈夫、大丈夫。」
明らかに大丈夫ではない。
涙菜は優奈を心配そうに見詰ていた。
すると電話が鳴った。
「こんな時間に誰だろ?」
涙菜は不思議に思いながら電話に出た。
「はい、夕闇です。」
『初めまして、夜光家のメイドの長谷川と申します。其方に優奈様はいらっしゃいますか?』
「あっ、はい、今変わります。優奈。」
「ん?何?」
「メイドの長谷川さんから電話だよ。」