ヴァイオリンとフルート
「僕にはね、10歳放れたお姉さんがいたんだ。」

「いた?」

「うん、僕が、10歳の時白血病でね・・・」

「・・・白血病・・・」

「うん・・・君みたいに肌が白くて、君みたいに真っ黒な髪をしてて、君みたいにとっても優しくて、ちょっとドジだった。」

「優奈・・・それ、さり気無く私をドジって言ってるよ。」

「えっ、その・・・そこが君の可愛いところなんだよ。・・・」

 少し古い台詞だと思うが、涙菜の顔を真っ赤にする事は十分過ぎるほどであった。ついでに言えば優奈も真っ赤である。2人共似たもの同士であった。

「か、かわ、いい?」

「う、うん!、可愛いよ。」

「~~~///で、で?お、お姉さんは?」

「えっ、えっとね。僕にとって大切な人だったよ。両親は外国に行ってて中々帰ってこないんだ。小さい時から僕の世話をしてくれて、自分の事何一つ出来ずに逝っちゃったんだ。」

「と言う事は二十歳だったんだ。・・・」

「うん、彼氏をつくってもいい歳だったのに・・・」

「・・・悲しいね。」

「うん・・・」

「優奈は絶対死なないでね。」

「・・・うん、絶対死なないよ。大切な人を置いては逝かないよ。」

「絶対?」

「うん、残された人の気持ちが分かるから・・・君は悲しませないよ。」

「約束ね。」

「うん、約束。」
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