ヴァイオリンとフルート
「後は・・・」

「如何したの?」

「言い難いけど、私って家にいても外にいても邪魔者だと思うの。」

「如何してそう思うの?」

「お父さんもお母さんも私と遊んでくれた事なんて一度も無いし。それどころか、私は動く荷物の扱い。周りからも何時もお荷物呼ばわり。」

 涙菜の瞳からは涙が流れていた。一つまた一つと続けて流れてゆく。

「涙菜・・・」

 優奈が不意に話し掛けた。

「何?」

 涙菜は精一杯笑って優奈方をみたとっても儚くて今にも崩れそうな笑顔だった。
 でも、涙菜の涙も次の優奈の行動によって止まった。

「ゆ・・・な・・?」

 優奈が涙菜を抱き締めていた。

「辛かったね。淋しかったね。よく頑張ったね。・・・」

 優奈の声は震えていて、顔は見えないもののきっと優奈も泣いているのだろう。

「ゆな・・・如何したの?何で泣いてるの?」

「泣いてもいいんだよ?今までッ耐えてきたんだよね?・・・頑張ったよ涙菜は、今までずっと頑張ってきたんだよね?今も耐えてたんだよね?でも、僕の前では崩れてもいいよ。僕をもっと頼りにしていいよ。」

「・・っ・・ぐすっ・ひっく・・うっ・・・うっうう・・・」

 涙菜は泣いた。精一杯声を殺して・・・優奈は涙菜からもらい泣きしながら涙菜の背中を優しく撫でた。
 数時間経って涙菜は落ち着いた。
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