・約束
忘れられない
雅也と美央のCM起用が決まってから、慌ただしく日々が流れた。



「春夏…少し休めよ」
自宅に来ていた部長がビールを片手にソファで呼んでいる。


「…あともう少し…だけ。これやったら終われそうだから」
パソコン相手に睨めっこ中の私に、部長は背中から抱きついてきた。


「ちょっと…部長やめてよ。仕事にならないじゃない」


「お前こそ、オレが来てんのに仕事持ち込んだりして…」


あれ?拗ねちゃった?

「ごめん。でも、今夜中に仕上げないと…」



って! 私の話聞いて無かったの??



手際良く手を滑り込ませて、フロントホックを外す。

「ちょっ…まだ終わんないんだけど!」



「オレはお腹すいた」

「ビール飲んでるじゃん」


「…そうじゃなくて」



分かってるよ。どういう意味かくらい。
終わらせなきゃ明日の会議に間に合わないんだってば…


「春夏を食べたい」


「部長~上司でしょ。部下の足引っ張んないでよ」

「今は社外だ」



「あのねぇ…」



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