・約束
数分後、ドアが開き会議室から出て来たのは雅也とマネージャーさんだった。
「…久し…ぶり…」
先に言ったのは、雅也の方だった。
私は、雅也が私を覚えていないのなら、初対面のふりをしようと決めていた。
だから、さっきも‘初めまして’と言ったのだ。
それが、目の前に居る雅也は私を分かっていて声をかけている。
「…ま…さや」
「あの!」
勘の良いマネージャーの坪井さんは即座に私達の間に入った。
「…もし、まだ会議室を使っても構わないのであれば、中でお願いします」
「あっ…そうですよね。すみません。気付かなくて…どうぞ」
「私は廊下で待っていますので」
気を利かせてくれる辺りも凄くデキた人だ。
『パタン』
会議室のドアが閉じ、雅也と二人きりになった。
「雅…大木さん、大人気なんですね」