・約束
「別世界…」

廊下ですれ違うのは、これからデビューするであろう男の子たち。
挨拶もしっかり出来て、礼儀正しい。


この事務所のタレントさん達が
色々な場所で起用されるのが何だかわかる気がする。
うちの上層部も、こういう所を考慮してのキャスティングだったのかも。


通された部屋にマネージャーの坪井さんが居た。

「…小田さん。今日はワザワザありがとうございます」


「いえ。とんでもないです。こちらこそ先日はありがとうございました」

お互い、ペコリと一礼して席に座る。


「…今日はCMの件でのお話では無いんですが…」

「?はい」




坪井さんは改めて座り直すと、落ち着いた口調で話し始めた。
「…雅也から、あなたとの事は聞いています」

「……ハイ…」



「…幼馴染……以上の関係でしたよね?」

「……」


「小田さん?」

「……子供の頃の話です。オママゴトみたいな恋愛でした。昔の話です」


「雅也は人気絶頂期にやっと入ったところです。
 今、この人気を落とすわけにはいかないんです」




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