・約束
「……まぁ、それなりに。気をつけたり、表では2人では会わないとか…
最悪、もみ消し…」
‘カノジョ’…の否定はしないのね…。
「大半は、話題づくりのが多いかも…」
「…ふ~ん…」
大通りを抜け、高層ビルが立ち並ぶ並木通りを通り、
幾つかあるタワーマンションの地下へ入り、車を停める。
「春夏こっち」
車から降りると、上階住人専用のエレベーターで雅也の部屋へ向かった。
私はドアを開ける雅也の後ろで下を向いて待った。
「…どうぞ」
促され、玄関に入る。
「うわぁ・・・」
あまりの凄さに言葉を失った。
正面には景色が一望できる、前面ガラス張りの窓。
広いキッチンとリビング、素敵な家具と調和するように配置された観葉植物。
「好きなトコに座ってて」
雅也はキッチンへ立ち、冷蔵庫を開ける。
「…雅也…料理とかするの?」
「…いや。殆ど使ってないかな(笑)」
「勿体ない…こんな素敵なキッチンなのに」
余計な道具もないし…本当に使ってないカンジ。
何食べて生きてんのかしら?