・約束
次の瞬間には、私は雅也の腕の中にいた。
「…ちょっ…雅也?」
私を包み込む腕が強く締まる。
「雅也…痛い…よ」
「そんな男…やめろよ」
雅也の唇が私の唇に触れる。
「…ダメよ。雅也。私達はもう…」
言葉を遮るように、雅也は唇を塞ぐ。
15年経って、雅也との初めてのキスは…
切なくて涙の味がした。
「…雅…也?」
見上げた私の頬に、雅也の涙が零れ落ちる。
「やっと会えたのに…」
「雅也…そんな顔しないで…」
しまい続けていた気持ちが、一気に噴き出しそう。
このまま雅也の傍に居たら…きっと私は…
「ごめん。やっぱり来なければ良かった…帰る」