・約束
***************************
後日。商品ポスター撮りが行われた。

変更された通り、該当商品のアイスを口移しで食べるポーズ。
そして、
口元から垂れるアイスをすくいながらのキスシーン。

連写で撮影した中から、ベストショットを選ぶ。




さすがに、目の前で見せつけられるのってキツイ…けど、
それを和らげるように、私の傍には坪井さんも居てくれて。
「ザ・仕事」的な会話を交えながら撮影していた。






その夜は、坪井さんの計らいで…っていうより、
絶対私が凹んでると思い、雅也を早めに仕事から解放してくれたようだ。
聞いていた予定時刻よりも早く、雅也はマンションに帰宅した。

「ただいま」

「…お帰り。早かったね」

「うん。坪井さんが今日は早く帰れってさ」

「坪井さん…私に気使ってくれたんでしょ…悪かったなぁ…
 うちの仕事なんだもん。大丈夫なのに」


雅也が腰に手を回す。

「…ウソつけ…」

「ホントだよ。全然平気」

「…撮影中、カオ引きつってた…」

「え…うそっ」

「坪井さんも、ちゃんと見てたんだよ」

< 68 / 85 >

この作品をシェア

pagetop