背中合わせの恋
その背中が見えなくなって、沖田さんの隊服に顔を埋めて抱きしめる。
「誰にも言いませんよ。…言えるわけないじゃないですか」
他の誰でもない、貴方の頼みなんですから…。
それが私にできる唯一の貴方への想いかたなんです。
細く息を吐く。
「ねぇ、」
「ひゃぁ?!」
急にかけられた声に驚きすぎて、持っていた隊服を取り落としそうになりながら振り返れば、
「お、沖田さん!」
沖田さんがいつものように笑んでいた。
驚く私を気にせず、彼はもう一度「ねぇ、陸ちゃん」と口にする。
「な、何でしょう」
「どうしてさっき土方さんに言わなかったの。僕の病のこと」
不思議そうに首を傾げて聞いてくる沖田さんに、私も首を傾げる。
「どうしてって…『絶対言わない』って約束したじゃないですか」
「、」
沖田さんの瞳から一切目を逸らさずそう言えば、沖田さんの喉仏が上下するのが分かった。
沖田さんが顔を伏せる。