背中合わせの恋
俯きながら微かに震える腕で、沖田さんから隊服を受けとる。
「嫌いって…沖田さんのほうこそ、私のこと嫌いじゃないですか」
沖田さんを見ていられなくて視線を外して、隊服を握りしめた。
「……うん、嫌い」
「っ、」
反射的に顔を向ければ、沖田さんが複雑そうに笑んでいた。
なんで、貴方がそんな顔してるんですか。
視線がゆっくりと絡む。
「嫌いだよ、君なんて…」
沖田さんの瞳が、ひどく揺れているように思えた。
「だけど、土方さんに言わないでいてくれたことには感謝してるよ」
そう言い残して、沖田さんはひらひらと手を振って行ってしまった。
沖田さんの背中が見えなくなって、その場に座り込む。
「沖、田さんっ…」
溢れだす涙を止めたくて、沖田さんの隊服に顔を埋めた。