背中合わせの恋


飄々とした表情は崩さず、瞳だけは縋るように私を見る沖田さんに、


『あぁ、沖田さんは本当に労咳なんだ』


と思い知らされて、胸が押し潰されたかのように苦しくなった。

「僕にはまだ、ここでやらなきゃいけないことがある。…病になんて構ってる暇なんてないんだ」

「…はい」

「だから、だからお願い…誰にも言わないで」


ああ、そんな縋るような瞳で見つめないでくださいよ。


「っ沖田さんが、そう仰るのなら…」


その瞳を見つめ返すことができずに、視線を足元に落とした。


「本当に?本当に誰にも言わない?」


尚も確かめるように問うてくる沖田さんに、俯いたまま頷く。


「…ありがとう、陸ちゃん」


ホッとしたようなその声音に、胸が痛んだ。


違う、違うの。
本当は…、




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