背中合わせの恋
貴方の願い、私の想い
ジャブジャブと音をたてながら、洗濯板で隊服の汚れを力任せに落としていく。
「ふぅ…」
なかなかの重労働に腕の疲れを感じながら、次の隊服へと手を伸ばした。
「あっ、」
血だ。
襟元と袖口にベッタリと染み着いているそれは、少し変色している。
ドキリと心臓が嫌な音をたてた。
裏返して誰の隊服なのかを確認する。
「……」
吐き出した息が微かに震えた。
隊服を胸に手繰りよせ、ギュッと抱きしめる。
間違いなく、これは沖田さんの隊服だ。
沖田さんにせがまれて、私が刺繍した『沖田』の文字を見間違うはずがない。
背を丸めて、膝ごと抱え込むようにギュッと縮こまる。
そうすれば、ツンと微かに鉄の匂いが鼻をついた。
…これは、いったい誰の血なのだろうか。
沖田さんが斬り伏せた相手の血?
それとも…
吐血した沖田さんの、血…?