女嫌いな生徒会長の恋
父の言葉 円side
お父さんたちの命日。今日、会長さんにすべて告白しようと思う。
会長さんの靴箱に場所と時間のメモを入れておいたので、大丈夫だろう。
パンっと頬を叩いて気合を入れる。
「そんなに叩くと痛いでしょ」
「紫苑!」
紫苑が笑って見ていた。
「今日、戦いに行くんだって?」
「うん」
「そっか。あの円が誰かを好きになる日が来るなんてね。嬉しいやら寂しいやら。でも、ヤッパリ嬉しいかな。ねえ円。おじさんが、円のお父さんが言ってたこと、教えてあげようか」
何だろう。
「うん。知りたい」
「(家族の形は一つじゃない。円と和がいろんな形の家族の中で笑って過ごせる人になって欲しい。そして)」
紫苑はそこで息を整えた。
「(そして、大切な人と、幸せな家族を創れる人に、そんな人間になって欲しいんだ)」
お父さん。
「みんな、円の家族だよ。円の幸せを応援してるから、行っておいで」
紫苑に背中を押され、約束の場所へ向かった。