【完】『道頓堀ディテクティブ』
朝。
新大阪の駅では、トランプ柄のゴスロリの洋服を着たまりあがゆりあこと鈴井あゆなの来るのを、首を長くして待っていた。
「さすがに来ませんね」
「昨日電話来たのが真夜中の二時やからね」
さすがに寝てるんちゃうか、と穆は笑った。
まりあは穆と大二郎がいるのを知らない。
なぜなら出口に近いうどん屋で見ていたからである。
そこに。
トランクをガラガラ曳いた鈴井あゆなが駆けてゆく。
「気づきますかねぇ」
「…運やな」
構わず穆はきつねうどんをすすっている。
大二郎はチラチラ見た。
すると。
ゴスロリ姿のまりあと、有馬ゆりあの顔に戻った鈴井あゆなが、ハグをしながら泣いているのが見えた。
「…七年ぶりやもんなぁ」
大二郎は人目を憚らず泣いている。
一方の穆は、
「…これでミッション完了やな」
とだけ言うと、付け合わせの稲荷寿司を頬張った。
「何でいつもそんなん無情なんですか!?」
慷慨気味に大二郎はなじった。
が。
人を食ったような顔をし、むっくり鎌首をもたげるように大二郎を見てから、
「うどん伸びるで」
とだけ言って穆は再び麺をすすった。
どうやら穆にはそういう面があるらしかった。
新大阪の駅では、トランプ柄のゴスロリの洋服を着たまりあがゆりあこと鈴井あゆなの来るのを、首を長くして待っていた。
「さすがに来ませんね」
「昨日電話来たのが真夜中の二時やからね」
さすがに寝てるんちゃうか、と穆は笑った。
まりあは穆と大二郎がいるのを知らない。
なぜなら出口に近いうどん屋で見ていたからである。
そこに。
トランクをガラガラ曳いた鈴井あゆなが駆けてゆく。
「気づきますかねぇ」
「…運やな」
構わず穆はきつねうどんをすすっている。
大二郎はチラチラ見た。
すると。
ゴスロリ姿のまりあと、有馬ゆりあの顔に戻った鈴井あゆなが、ハグをしながら泣いているのが見えた。
「…七年ぶりやもんなぁ」
大二郎は人目を憚らず泣いている。
一方の穆は、
「…これでミッション完了やな」
とだけ言うと、付け合わせの稲荷寿司を頬張った。
「何でいつもそんなん無情なんですか!?」
慷慨気味に大二郎はなじった。
が。
人を食ったような顔をし、むっくり鎌首をもたげるように大二郎を見てから、
「うどん伸びるで」
とだけ言って穆は再び麺をすすった。
どうやら穆にはそういう面があるらしかった。