【完】『道頓堀ディテクティブ』
大二郎は弱いくせに強がって酒を飲む。

「…」

すっかり電池の切れた玩具のように活気がない。

「おい帰るで」

すでに穆が勘定を済ませてある。

「タクシー呼びましょうか?」

女は言った。

「担いで帰りますよ。どうせすぐ近場やし」

「そうですか」

ではお気をつけて、と女は見送った。

酔い潰れた大二郎は穆に背負われ、大二郎の上衣はまりあが手にしている。

「…大二郎さんって」

いつもこんな感じなんですか?…まりあは訊いた。

「まぁしょっちゅうやないけど、あるにはある」

「これってただ邪魔してるだけのような気がするんですけど…」

確かに。

何の調査にもならなかった。

しかし。

「別に依頼人って訳やないし」

そもそも寺内健吉が持ってきた話題でもある。

「少なくとも何か裏があるってのだけは分かった」

「うーん」

まりあには釈然としないものがあったが、

「穆さんが言うなら、きっとそうなんでしょうけど」

何とも消化不良な顔つきをしてみせた。

まりあにすれば、大二郎は足手まといでしかなくなってきていたのかも知れない。



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